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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

「よう本郷、今日こそどうだ?」
「なんで俺が付き合わなければならん」
「固いこと言うなよ」
「ごめんだな」

ここは日本でも入る事が難関と言われている防衛大学校、要するに自衛官の卵の集まり……幹部候補だが。知力体力判断力それ全てを兼ね備えた者、実際はそこまでいかんのが多い。
俺は本郷紡、小さい頃から大柄で親は俺を鍛えるのがお気に入り、小学校に入る前から柔道空手剣道と一通りはやらされたな。その中で柔道が俺に合い高校時代に全国優勝を勝ち取り、成績も悪くはなかったので親が進めたのが防衛大というわけだ。

カリキュラムは嫌いじゃない、自衛官として必須項目はともかく地球海洋学などの専門学科もあり俺の興味を引く。こんな体格じゃ分からんだろうが星や海のような神秘性を伴うのは好きだと思う、まだまだ知られていない『なにか』を見つける夢が俺の心に響いたんだろ、見た目で判断するな。

ついでに言えば問題もある。体格はこうだが周りから見れば少々繊細な顔立ちで、先ほど声を掛けられたのも……なんて言ったらいいんだ? 男同士の夜の誘いなんだよ。男ばかり寮に詰め込んでいるんだそんなこともあるかもしれん、だが俺にそんな趣味はない。毎回言い寄られては断るの繰り返し、酷い時は部屋まで入られたのを力でねじ伏せたこともある。
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