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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

十河さんが向かったのは奥にある畳敷きの修練場、俺は柔道のクセで入口の前で一礼し中へと入った。一番奥に座る十河さんと向い合せに座る俺、どうやら護身術を教えてくれる雰囲気ではない、ではなぜ俺をここに連れて来た?
「一つ聞きたいことがある」
「……はい」
「調べたが柔道有段者しかも全国優勝もしているな、それなのになぜ護身術を求める?」
「……。理由なき暴力が嫌なため。柔道技では相手を傷つける恐れがあります、俺はそれを望んではいません」
「理由なき暴力、だが柔道でも相手を抑えることは出来るぞ」
「自衛官や警官のようには柔道は使えません、下手をすれば必要以上に相手を傷つける恐れがあります。自衛官を目指していた俺は力加減が分かりにくい、もし手加減なくこの力を使ってしまえば……それはあいつらと同じこと」
「あいつら?」
話していいのだろうか、表にすら出なかったあの事を……。防衛大がどれだけ腐った場所なのかを……。
「俺が……。俺が怪我した理由は同じ防衛大のやつらにハメられたため。演習で仲間の裏切りにあい爆発に飛ばされた……」
俺は立ち上がり普段は絶対に脱がないTシャツを脱ぎ出す。スポーツジムとあってシャワーは個室、着替えは極力人が居ない隙を狙い俺にある傷跡を見せないようにしてきた。だが今くらいいいだろう、理由を説明したのだから裏付ける証拠は必要だと俺は思う。

