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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第2章 プロローグ
調教もショーもないある日の昼下がり、昼飯という理由で俺たちはリビングに集まったんだが……誰が最初だったか急にフローリングの上に胡坐を掻いて座り出したんだ。
一人やれば次々と……これは集団行動心理だな、明るい陽射しの中で男四人が座り込む図は些か滑稽ではあるが偶にはいいだろう。
「でさぁ主催がこう俺を引っ張り回してさ」
「そうか? 俺はかなり訝しんだんだが」
「私は普通ですね。そもそも別ルートで主催のところに来ましたから」
「あ? おまえらを勧誘した時の事か? 宮野と本郷は俺が目を付けたが、仁科お前むりやりだろうが!」
「そうでしたか? 手順はしっかりと踏んでいますよ」
「仁科の手順ってなぁー、絶対に裏あり過ぎー!」
「今だからこそ俺でもそう思えるな」
「はぁ本郷さんや宮野にまで言われるとは……。あの頃は本当に普通でしたのに信用のない」
確かに本郷と宮野は俺自身が勧誘したさ、しかも表の世界に居たのを裏に引き込み調教師養成機関に入れたのも認めてやる。あの時の二人はあのまま表に居たところで未来などなかった、これだけははっきりと言える。仁科は別問題だ俺の手にあまるだろあれは。
「しかし懐かしいな、仁科と宮野と初めて会った頃か」
「本郷さんめっちゃ怖そうだったしー!」
「宮野は全く調教師をしませんでしたよね」
「今考えればよくおまえらを使い物にしたもんだ、裏で俺がどれだけ苦労したか分かるか!?」
あえてバラバラな性格を選んだ俺だが、本当にこれでよかったかと何度悩んだことか。ショーどころか調教師をやらせる事すらままならなかった初めの頃か懐かしいな。
勿論上手くいかなかったのには理由はある、こいつらの過去がなかなか互いを信用しなかったという経緯。
「……? どうしたんですか、みんな座り込んでいますけど」
「あ、美波!」
「少し懐かしい話をしていたんだ」
「宮野さん? 本郷さん?」
「なんというか……初めて私たちが主催の元に集まった頃ですよ」
「それ以前もあるがな」
「初めて……すごく気になりなす仁科さん、桜澤さん」
「聞くか? 少々長話になるぞ?」
「はいっ!」
美波も俺たちの中に混ざり一人一人話出す、俺たち四人の過去と集まってからの攻防を。
今はかけがいのない仲間だが、驚くだろうなあんな事があったなど美波は全く知らん。……それもまた思い出の一つなんだろうよ。