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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第4章 メモリー本郷

(ここはなんだ? 少なくとも俺が知る室内とは全くの別物、こんな場所があるとは……)
俺に出来るのはここに居る人物達を観察することだけ。五人ほどがソファーに座っているが、会長のような年齢が高いのも居れば三十代くらいの若めの男も居る。こんな繋がりすら分からぬバラバラ状態なのだが全員が正面にある謎の棒を見つめて動きはない。
なにかを待ってこうして居ると予測は付くが、俺の知識程度ではそのなにかは分からん……これからどんなことになるのやら。
動いたのは待って二十分以上が過ぎた辺り、別部屋から出て来たのは初老? にあたるのか六十代になろうかという男と、それに付き従う感じに見える三十代らしい男、そして一番最後に白色の浴衣を着た若い女。
(やはりそういうことなのか?)
女の服装や男女の組み合わせ的に考えれば性的なことと、いくら鈍い俺でもそれくらいは推察出来るぞ? ある意味落胆とでもいうのか、どこまでいっても男の欲はついて回る……こんな裏に近い仕事をしている限りずっと……。
「ほう今日は堈晃《おかあきら》先生か」
「……先生?」
少々過ぎた考えを振り切ったせいか、会長が言った言葉に質問で返してしまった。本来ボディーガードとは対象者のプライベートには首を突っ込まないもの、それなのに言葉を返してしまい俺的のも不味いとは思う。
だが機嫌のよい会長は全く意に介していない、それどころか俺に向かい説明する気満々のように見える。

