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縛られたい
第11章 まりあさんの過去〜阿部
美味しい朝食の後、ベランダ側に設置してある小さい露天風呂に2人で入った。


「明るくてなんだか、
恥ずかしいな」と言うまりあさんを後ろからふんわりと抱き締めて、
美しい新緑や鳥の囀り、川の音を聴いていると、
このままずっとこうしていたいと思ってしまう。


でも、チェックアウトの時間が迫ってきていた。


「いっぱい話をしてくれて、
ありがとう。
まりあさんが辛かった分、
俺、幸せにするように頑張るよ?」と耳にキスをした。


ゆっくり着替えていると、
まりあさんはテキパキと軽くベッドを整えたり、
お風呂のお湯の栓を抜いたり、
シャワールームの中もサッとお湯を掛けて流したりして、
使ったタオルや浴衣をまとめてくれてた。


フロントで、
「お食事もお風呂も、
最高でした!」と笑って挨拶をするまりあさんを観て、
俺は多分、腑抜けたような顔をしていたんだろう。

女将さんから、
「運転、お気をつけて。
またいらしてくださいね?」と言われてしまった。


小田原の方を回って、
蒲鉾やらお魚を買ってから家に向かった。


帰宅すると2人とも、
ダイニングテーブルの処で勉強していた。


「ねえねえ?
今日から2階の寝室、
使うんだよね?
片しておいたよ?」と2人が笑うので、
部屋を見てみたら、
ハートの形のピンクのバルーンがプカプカ浮かんでいたので、
笑ってしまった。


「夜はちゃんと鍵、閉めてね?
声も控えめに!」とゆりあから言われて、
「こら!
お父さんを揶揄わないように!」と言ったけど、

「仲良しなのは良いことでしょ?」と笑われてしまった。


そして、夕食もゆりあと優斗が2人で作ってくれた。
いつものカレーだったけど、
野菜がちゃんと、柔らかくなっていた。


そして、テーブルには、
赤と白のカーネーションの花が飾ってあった。


「ほら、今日、母の日でしょ?
白いのはお母さんの分。
赤いのはまりあさんのだよ?
2人で買ったんだ」と優斗が言うので、
まりあさんも俺も泣いてしまった。


優しい子供たちと、
可愛いまりあさんと一緒に居れて、
俺は本当に幸せだと思って、
心の中で優子にもそう報告した。
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