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縛られたい
第12章 少しずつ、家族になる〜まりあ
阿部さんと2人きりでの箱根への初めてのお泊まりでは、
他のヒトに話したこともなかった前の結婚生活のことをたくさん話して、溜め込んでいたものを吐き出せた感覚になれた。

すごく素直に阿部さんに甘えることも出来て、
愛されているという実感もあって、
なにより、あんなに苦痛で痛くて辛かった営みが、
気持ち良くて幸せな気持ちになれた。


帰宅した後も、
ゆりあさんと優斗くんの心遣いがとても嬉しくて、
阿部さんと2人で泣いてしまって笑われてしまった。


これから、少しずつ家族になっていけると思えた週末だった。


とはいえ、その後の生活ペースは変わることはなかった。


家事は私がメインでするけど、
みんなもそれぞれ、手伝ってくれる。

阿部さんの仕事の補佐も続ける。

学校の送り迎えとかで必要になるかもと言うことで、
ペーパードライバー教習に通い始めた。


優斗くんのサッカーの練習にも阿部さんと同行して、
「再婚しました」宣言を阿部さんがしてくれた。


優斗くんはいまだに、
「まりあさん」って呼んでるけど、
仲が良いということは誰が見ても判る感じだった。


ゆりあさんとも一緒に買い物に行ったりして、
2人でお料理をするようになっていた。




優斗くんのサッカー練習の付き添いの時、
私の子供の頃からのお転婆っぷりが発揮されてしまった。

子供の頃、男子に混ざってサッカーをやってたから、
今でもそこそこ、動けてしまって、
保護者スペースに飛んできたボールをトラップして蹴り返して、
周りをざわつかせてしまった。


「えっ?」と優斗くんが一番びっくりして、
私の処に走って来た。


「まりあさん、凄い。
なに、あれ?」って言うから、
渋々、サッカーやってたことを白状してしまった。


コーチをやってるヒトも来てしまって、
「小学校の頃、試合でご一緒しましたよね?」と言われてしまった。


あんまりお母さん達の中で目立ちたくないのにな…と思ったけど、
優斗くんは凄く喜んでくれていた。
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