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縛られたい
第12章 少しずつ、家族になる〜まりあ
練習の後、2人でリフティングしたり、
ボールを奪い合ったりして、
ケラケラ笑ってしまう。

阿部さんがそこに混ざっても、
私の方が上手くて、
凄く悔しがるので、
それを見てゆりあさんも大笑いしていた。


「ほら、ファーストフードばかりだったから…、
ちょっぴりメタボ気味だし。
優斗くんと一緒に、
朝、走ったら良いのに」と言うと、

「うん。
そうするよ。
俺、サッカーより野球だったからな」と阿部さんが顔を顰めて言う。


「まりあさん、なんか、武道もやってたよね?」


「ずっと合気道やってたの。
大学卒業まで道場に通ってた」と言うと、

「俺なんか、
あっという間に投げられそうだな」と阿部さんが言う。


「んー。
そうですね?」と言うと、
阿部さんは肩を落としてしまうから、
また、それを見てみんなで笑った。



週の半ばに、
「指輪、取りに行こうか?」と言われて、
車で百貨店に出掛けた。


結婚指輪の他に、
試しに嵌めていた中で一番素敵だなと思っていたリングも、
刻印されていた。


「えっ?
これは?」


「言ったでしょ?
ダイヤモンドも渡せない不甲斐無いオトコじゃ、
嫌だからさ?」と言って、
指にそっと嵌めてくれる。


私も阿部さんに指輪を嵌めてから、
「私からも…」と言って、
スタッフさんにお願いしておいた時計を持って来て貰って、
左の手首に嵌めてあげた。


「えっ?」


「お返しですよ。
これなら、毎日嵌めて貰えるでしょ?」と笑うと、
とても喜んで笑ってくれた。


「この指輪して、この前のお洋服着て、
家族写真、撮りたいな?」と言ってみると、

「良いね。
じゃあ、今度の週末に!」

「まさとさんのご両親様にも声、掛けて良いですか?」

「えっ?」

「私は、両親居ないから、
お願い?」

「勿論。
まりあさん、ありがとう」


という訳で、
週末には家族写真を撮りに写真館に行った。


阿部さんのお母様はとても上品なお着物で来てくださった。
その後は自宅でのんびり、夕食を取って、
お2人を阿部さんの車で送って行った。


優斗くんとゆりあさんは留守番になった。


「みんなで行きたいのに!」

「んー。
5人乗りだからな」

「今度、大きい車に買い替えないとダメかな?」

そんな話をしながら、
家を出た。
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