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縛られたい
第12章 少しずつ、家族になる〜まりあ
結局、観光に行くこともないまま、
本当にのんびり過ごした。


結婚式を挙げていないという話を聞いて、
祖父母が「とても日本には行けないから」と言って、
敷地内にある小さな教会で、
結婚式を開いてくれた。


父と母が身につけたというモーニングコートと美しい総レースのドレスを着た。

家に伝わるティアラやネックレスとイヤリングも身につけると、
「お姫様みたいだね」と、阿部さんが言う。


庭の薔薇園に咲く早咲きの薔薇を摘んで小さなブーケを自分で作って、
阿部さんの胸元にも一輪飾る。


私の洗礼をしてくれたという、
かなりご年配の司祭様が結婚式を執り仕切ってくださって、
家族だけの温かい結婚式を挙げることが出来た。



そして、最後の日だけロンドンに移動してホテルに泊まることにして、祖父の館を後にした。



ゆりあさんには、大学生になったら重宝するからと、
バーバリーで定番のコートを買った。

「私もね、
大学に入学する時にここでコートを買って貰ったのよ?」と言った。


優斗くんはイングランドのサッカーのユニフォームを選んだ。


阿部さんとお父様は、ネクタイを、
そして、お母様と私は、スカーフを選んで買った。


日本に帰ったら、
このネクタイやスカーフを身につけて、
また家族写真を撮りましょうねという話をしながら帰りの飛行機に乗った。



初めての家族旅行は、
ひたすらのんびりしながら、
たくさん話をする時間を持てて、
とても貴重な休日になった。
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