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縛られたい
第13章 出逢いは波のように〜まりあ
日本に帰国した後は、結構慌ただしくなってしまった。


優斗くんの入学準備で、
制服や教科書の手配や入学説明会。
そして、入学式。

勿論、阿部さんと2人で参加した。

私が習った先生もまだ現役でいらっしゃったので、
ご挨拶することが出来た。


ゆりあさんの入学準備は、
私服になるので一緒にお買い物に行ったりした。

「まりあさんみたいに、シンプルでモノトーンなのが良いな」と言うけど、
「若いんだし、
地味で勿体ないんじゃない?」とあれこれ試着するのが楽しかったりした。

ゆりあさんの入学式も阿部さんと2人で参加した。


そして、家族写真も撮りに行った。


そんな中、
初めて「お母さん…」と呼ばれた。


最初に呼んでくれたのが優斗くんで、
入学式の時に、
「ねえ、お母さん。
帰りにサッカー部の練習、覗きに行きたいんだけど?」って言った時は、泣いてしまって、
見ると阿部さんまで泣いてしまって、
「えっ?
2人とも泣かれると困るんですけど?」と優斗くんに言われてしまった。


ゆりあさんは、入学式の朝に、
「お母さん、口紅、どっちの色が良いと思う?」と訊いてくれた。

「えっ?
ちょっと待って?
今、なんて言ったの?」

「えっ?
口紅、どっちの色が…」

「違うの。
その前になんて言ったの?」

「お母さんって言ったけど、
えっ?
ひょっとして、嫌だった?」

「ううん。
嬉しくて…」と言うと、

「ビックリした。
歳がそんなに離れてないのに、
お母さんって呼ばれたくないのかと思った」

「凄く嬉しい!
ゆりあさん、違うな。
ゆりあちゃん、ありがとう!」と言って、
ハグして頬にキスをすると、

「ちょっ…。
お母さん、日本ではハグとかチューは、
あんまりしないんだよ?」と笑われてしまった。


それを見て、
阿部さんもまたもや、涙ぐんでいた。
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