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縛られたい
第17章 エピローグ
多分、あの箱根のプチ旅行で、
子供を授かった。


相変わらず阿部さんは、
すぐに私を過保護にするので、
あっという間にゆりあさんと阿部さんのお母様が気づいて、
その後、優斗くんとお父様が知るところになった。


安定期に入った秋に、
どうしてもお祖父様達に賢人が少し大きくなったところを見せたいと言ったけど、
みんなが反対してそれは叶わなかった。


その代わりに、固定電話しか置いていなかったお祖父様の処に、
パソコンが導入されて、
SkypeやZoomで動画を通じて頻繁に話せるようにした。


臨月の1月。
今回の出産も帝王切開だったから、
出産後はまた、阿部さんだけでなく、
阿部さんのご両親に見て貰うことになった。


ゆりあさんも、
「将来の勉強の為!」と言って、
たくさん育児を手伝ってくれたけど、
阿部さんは違った意味で気が気ではないようで、
私にコソコソと、
「彼氏、出来たのかな?」と訊いたりしていた。


「本人に訊けば?」と言うと、
「俺、無理。
まりあさん、訊いてよ」と泣きそうな顔をするから、
笑ってしまった。



優斗くんは、サッカーは辞めてしまった。
「才能の問題」と言ってた。

その代わりに私がずっと通っていた合気道の道場に行くようになった。

「ほら。
お母さんとか、お姉ちゃんを護らないといけないでしょ?
賢人も小さいうちは護るよ?」と笑っていた。

そして、勉強に力を入れるようになっていた。


「癌とか、病気、治せるヒトになりたいな」と言ってるから、
医学部に行きたいんだろう。


桜が咲く季節になると、
阿部さんは、非常勤講師をしていた大学で、
准教授になった。

コンペの入賞などの実績で、
ずっと大学に居た方より、
早い出世だと言われていた。


親子で専門誌に載ったりすることもあって、
その度にお母様と2人で、
ネクタイやポケットチーフを選んだりしてた。


家族が増えて、賑やかな毎日が続いていた。


ゴールデンウィークは、
家族全員で庭でバーベキューをする程度で、
遠出は出来なくても楽しく過ごした。
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