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縛られたい
第4章 優子さんの願い〜まりあ
フラフラと起きようとすると、
「大丈夫かな?」と、
阿部さんと優斗くんが覗き込んでいた。


優子さんは点滴をしながら眠っているようだった。


「ごめんなさい。
私…ご迷惑、かけちゃって…」


「急に倒れたから驚いたよ。
座っていたから、まだ良かった」と、阿部さんが笑う。


「もう少し休んでから帰ろうか?
優子はもう、今日は目を覚さないと思うから」


「今日から家に来たら?
独りで居る時に倒れてたりしないか、
僕、心配だよ?」と優斗くんが手を握ってくれる。


「じゃあ、家まで送って貰って、
そのまま荷物、車に詰め込んで運んで貰おうかな?」と笑うと、
優斗くんはホッとした顔をした。


「うん!
僕、手伝うから!
お父さんも運んでくれるよね?」


「あ、ああ。
勿論」





という訳で、そのまま私の家に車で向かって、
自室の荷物を運んで貰うことになった。

スーツケース2個
寝袋とソロキャンプ用品一式
コーヒーマシンと電気ポット


「えっ?
これだけ?」
と、阿部さんがびっくりしてる。


「ホントは、スーツケース1個くらいまでにしたかったんですけど、
冬物って嵩張るから…」と言うと、
「なんでキャンプ用品は結構あるの?」
と更に訊かれた。


「ガスも止めちゃってたし、
キッチンも水回りリフォームしてハウスクリーニングもしたから、
なるべく汚したくなくて、外食してたんです。
でも、どうしても炊きたてのお米とかおかずを食べたい時は、
庭で火を起こして作ってたんです。
ほら、大地震とかの災害時の備えにもなるから」と言うと、
笑われてしまった。


「洗濯とかは?」

「小さい物は手洗い。
どうしてもの時は、コインランドリーでした」

「ガス、止めてたって言ってたけど、
風呂はどうしてたの?」

「近くのジムに行ってたから、
そこでシャワーでしたね。
あ、遠くなっちゃうから、解約しようかな?」


「なんかさ、
逞しいよね?」と、2人はクスクス笑っていた。



2人が手伝ってくれたので、一回で車に荷物を運べて、
念入りに戸締りをして、
あっという間に事務所に仮住まいさせて貰うことになった。
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