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縛られたい
第6章 雪解けの気配〜まりあ
「2人とも脚が悪いから、家まで送って来るよ?」と、
事務所に阿部さんが顔を出して言った。


「運転、大丈夫ですか?」と訊くと、
「ああ。多分…」と言う。


「ペーパードライバーで良ければ、
ご一緒しましょうか?」と言うと、

「えー?
それなら僕もついて行く!」と優斗くんが譲らない。


「でも、ゆりあさんは?
お一人で残すのは心配よ?」と言うと、
「じゃあ、俺と優斗で送ろうか?
この時間ならそんなに時間掛からないだろう」と阿部さんは言った。


「まりあさん、また、遊びにいらっしゃいね?」と、
阿部さんのお母様に手を握られて、
フワリとハグされた。

母と同じフレグランスに包まれて、
泣きそうになってしまうのをグッと押し留めて、
「ありがとうございます」と笑った。


「優斗くん、お父様、寝不足だから、
帰りの運転も気をつけてあげてね?
眠たそうだったら、
マックでコーヒーとか飲んで休憩するようにしてあげて?
ナゲットなら、温め直せるから温め直して食べたいかも!」と言うと、
「任せておいて?」と優斗くんは笑った。


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