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縛られたい
第7章 悪夢〜まりあ
初めて2階まで登ってゆりあさんに声を掛けてみたけど、
「頭、痛いから」とくぐもった声で言われてしまった。

「お薬、飲む?」と訊いても、
「要らない」と素気なく言われてしまうので、
事務所の方に戻って、
ソファベッドに横になった。

多分、とても疲れていて、
一瞬のうちに深い眠りに入ってしまっていた。


そして、違和感を覚えて起き上がろうとした時、
手首を縛られているのに気付いて、
何事かと思って身体を捩ろうとした。

身体の上に誰かが跨るように乗っていて、
タオルみたいなもので猿轡をしようとしていた。


「暗いと動画、撮れないな。
ゆりあ、灯りつけてよ?
おっ、鞄に財布発見!
結構入ってるな?」とお札を掴んでいるようだ。

シーリングライトが付いて、目が眩んでしまう。

ワンピースをナイフかハサミで切り裂くようにして、
「大人しく言うこと聞かないと、
痛い目に遭うよ?」と言う。




「何してるの?
ちょっと脅かしてここから追い出すって言ってたでしょ?」と、
ゆりあさんが慌てた声を出す。


「何、言ってんの?
オンナを脅かすって言ったら、
ヤルに決まってるでしょ?
ビデオや写真も撮っておけば、
言いなりだよ。
すげえ、おっぱい。
前から狙ってたんだよな」


「えっ?
どういうこと?」


「俺が1年の時、
うちの学校に教育実習で来てたんだよ。
可愛いし、背は低いけど、
おっぱいデカいし、
男子はみんな、
オカズにしてたよ。
まさかさ、お前のオヤジのトコで、
仕事してるとは思わなかったから、
昨日、見かけて、
絶対にヤろうと思ったよ」


「そんなこと、言ってなかったじゃん」


「お前、ホントにバカ。
しかもさ、全然ヤラせてくれないし、
ベロチューしても嫌がるしさ。
たいして可愛くもないくせに、
勿体ぶってて、別れようかと思ってたら、
まさか、憧れの先生と繋がってるとは思わなかったし。
まんまと騙されて、
家に入れてくれたの、お前だから、
共犯だよ?」


「なに、それ?
酷いよ。
辞めてよ?」


「邪魔すんなよ?
そこで見とけよ。
なんなら、その後、ヤってやっても良いけど?」


「ダメ。
辞めて?
あっ…」


ドスンという音がした。
ゆりあさんを突き飛ばしたような音。


猿轡されてて、声が出なかった。
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