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縛られたい
第7章 悪夢〜まりあ
「昨日のことは、本当にごめんなさい。
私のせいで、まりあさん、酷いことされて…」

「優斗は部屋に行ってようか?」

「やだ。
僕も聴くよ。
仲間外れにしないでよ」

「私、まりあさんがお父さんと再婚しちゃうと思って…。
優斗はまりあさんと仲良くしてるし、
私だけ除け者になるって思ったから、
まりあさん、ここから追い出したかったの。
そしたら、恭平先輩が、
『脅かしたら出て行くよ』って言って…。
でも、まさかあんなことするなんて思わなくて…」


「ゆりあさんが無理矢理、何かされなくて良かった。
あいつ、ゴムもつけないし、
乱暴で痛くて最低だったもん。
あんなのが『初めてのオトコ』じゃなくて、
良かったね?」と言うと、

「でも、まりあさんが…」と涙を流して震えてる。


「私は大丈夫よ?
言わなかったかな?
子供、出来ない身体だし、
かなり不快だったけど、
あいつを縛る時に投げ飛ばして…、
蹴りも入れたしね?」と笑いながら、
私も泣いてしまっていた。


「うん。
びっくりした。
まりあさん、あっという間に…。
カッコ良かった」


「真似しちゃダメよ?
危ないからね。
母に言われてたもん。
いくら武道とかやってても、
レイプされそうになったら、
基本的に従いなさいって」


「えっ?」


「殺されたり、顔とか切り付けられたりするよりマシだからって。
その代わり、絶対に逮捕させて、
償わせなさいって言われてた。
留学する時にね、
東洋人は小さいし、差別もあるから、
そういう被害に遭うこと、多いからってアドバイスされたの。
凄い親だよね?
しかし、ああいうオトコは、去勢されちゃえば良いのにね?」


「去勢って何?」
と、優斗くんが訊くので、

「オチンチンをちょん切っちゃうのよ?
悪いこと、出来ないようにね?」と言って笑った。


「起きてたら多分、
あんなに簡単に自由にはさせなかったけど、
それでもナイフ持ってたからね。
ちょっと傷、ついちゃった。
でも、身体の傷は治るから、大丈夫!」と言って、
ゆりあさんの手をギュッと握った。


「それとね、
本当に私、阿部さんと再婚とかは考えてないから…」と言うと、
黙って聴いていた阿部さんが突然口を開いた。


「いや、考えて貰えないかな?」
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