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縛られたい
第8章 公開プロポーズ〜まりあ
「えっ?」

「今日、病院でも言ったけど、
昨日、帰宅した時に心の底から俺、
渡辺さんのこと、大切に想ってたんだと実感した。
ゆりあの気持ちも考えられてなくてごめん。
妻を見送ったばかりで、
軽薄な男だと思うかもしれないけど、
結婚、考えて欲しい。
すぐにじゃなくて良いから。
ゆっくりで良いから」


「あんなことの原因作った私が言うのもどうかと思うけど、
まりあさんが嫌じゃなければ、
私からもお願い」


「僕は、ヤだな。
僕が結婚したいのにさ。
でも、まりあさんがここにずっと居てくれるなら、
良いかな?」


私は一人一人の顔をゆっくり見て、
考え込んでしまった。


「阿部さん、
あんなことがあった私に同情してるんじゃないですか?」


「いや、そんなこと、ない」


「優子さん、亡くされて、
心細いとか?
あ、お母様とかに何か言われましたか?」


「そんなことないよ?
まあ、まりあさんとは再婚しないのって訊かれたけど」


「ゆりあさんも、自分のせいって思ってるだけじゃない?
私、お母さん業、出来るかどうか自信ないし…」


「うちは、ずーっとお母さん、
居なかったもん。
それに、お母さんじゃなくて良いから、
まりあさんに居て欲しい」


「優斗くんは?
私、お父さんと結婚して、
優斗くんのお母さんになれるかな?」


「んー。
結婚するのは僕が良いんだけど、
ずっとまりあさんが居てくれるなら、
お父さんと結婚しても良いかな?
でも、お母さんって呼ぶの?
まりあさんじゃダメなのかな?」


「取り敢えず…、
阿部家の居候は続けさせてください。
あの…。
事務所のソファベッドで寝るのは、
辞めても良いですか?」


「うん。
あれ見ると思い出すかなって思って、
さっき粗大ゴミに出したよ?」と、
阿部さんが言った。


「和室で寝泊まりしても良いですか?
キッチンとか、お風呂もお借りできますか?」


「そんなの、勿論だよ」と阿部さんが言う。


「一緒に寝ないの?」とゆりあさんに言われて、
阿部さんは真っ赤な顔になってしまった。
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