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彼女に抱かれたい
第20章 船出の時
「先輩!なに泣いてんですか!」
彼はハッと我にかえりったように
『あっ…皆が泣いてるから、もらい泣きしたんだよ!』
と言いながら歩みを進め始めた。

今は彼らの頑張りを讃える時…私はでしゃばらずにここで見ているだけでも幸せだ。

『マイ!』


えっ…


彼の方を見ると、彼は涙でくしゃくしゃの表情でにっこり笑った。
『約束!迎えに行くから!』
と言ってくれた。


もらい泣きだろうか…?
いや、違う。
彼はあの時の約束を果たそうとしてくれている。

狂気じみた愛情が渦巻く私の心を溶かし、誓いを立ててくれた彼。
どこまでも純粋で真っ直ぐな彼は、その約束を果たそうとしてくれている。


転勤族?
どこまでもついて行きます。あなたになら。地の果てまでも。

溢れる涙が抑えられず、今日はきちんと用意していたハンカチで涙を拭った。

彼の全てが誇らしい。愛おしい。
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