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彼女に抱かれたい
第8章 一矢纏わぬ
『ブハッ!ハアッ、ハアッ…!っっ!クソッ!』

1.01.92

「どうしたサトシ、1バタもそうだが1フリまで1分オーバーだぞ?どこか悪いのか?」

くそっ…なぜだ…調子が上がらない…。

『…ッッ!どこも悪くありません、大丈夫です…。』

天才でないことは自分が一番よく分かっている。
だが、全くの才能ナシではないはずだ。
一時期、おもしろい程に縮んでいたタイムが嘘のように止まり、全力で泳いでいるのにタイムが縮まらない。

自己ベストには程遠いタイム。
自己ベストからは3秒以上遅れていた。
公式戦じゃなく、月1回行われる練習締めのタイム測定とはいえ、納得できるものではなかった。

…集中力が足りないんだ。今、余計な事は考えるな!

そう思えば思うほどに頭から離れない愛する彼女。
初めて一緒になれた日から1ヶ月が経とうとしているのに、あれから一度も会えていなかった。
電話やSNSでのやり取りはしている。
でも、彼女も仕事が忙しかったり、俺も授業に部活、課題で夜は疲れきって眠ってしまったりと、なかなか通じ合えていない気がしていた。




マイはどうしているのだろうか。
こんなに会いたいと思っているのは俺だけだろうか。
あの時は勢いだけ?気の迷い?
マイにとって俺はどうでもいいのだろうか。

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