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第8章 一矢纏わぬ

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全然眠れなかった。
昨日、自分からマイに電話しといて、カッコ悪いとこを見られるのが嫌で大きな声を出して一方的に電話を切ってしまった。

あれから彼女から電話も連絡も入っていない。

最悪だ…。
マイに嫌われただろうか。
嫌われてもおかしくない…。


自己嫌悪から抜け出せないまま、俺は部活の準備をして歩いて学校へと向かった。



足取りは重い。



自分が原因で彼女とは険悪になってしまった。

部活ではタイムが縮まらない。

全ての歯車が噛み合わず、悲しくて、もどかしくて、ぶつけようのない怒りが込み上げる。

くそっ…。なんで…なんでだ。
なんで素直に言えなかった…？


ボーッと考えていると、俺のすぐ脇に車がいて、クラクションを鳴らされた。






ビクッ！！！







驚いて車の方を見ると、運転席でクラクションを鳴らした主はマイだった。