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彼女に抱かれたい
第8章 一矢纏わぬ
…なんで、ここに。
会う約束なんてしていなかったのに。

彼女はこちらを見ていた。
今まで見たことないような冷たい目をしている。


ずっと会いたかったはずの彼女がそこにいるというのに、声をかけられない。
もっと言いたいこと、話したいこと、謝りたい事があるはずなのに。

「乗って。」

冷たく言う彼女に従い助手席に乗り込むと、彼女はゆっくり車を発進させた。

そもそもなぜ彼女がここにいるのか分からず、昨日の事もどう切り出していいか分からず、俺は困惑して俯いていた。
車のエンジン音が大きく聞こえる…。

どうしよう、どうやってマイに謝ろう…

「サトシ。」
『は、はい。』
「今日、部活だったよね。休んで。」
『えっ?』
「え、じゃない。部活休んでって言ってんの。」
『う、うん…』

どういう事…?
それにしても…すごく冷たい言い方だ…。
そりゃ怒ってるよね…。

俺はひとまず顧問には部活を休むことを連絡した。
顧問は俺のことを心配してくれたが、それも適当に誤魔化した。
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