この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真夏の夜の夢
第4章 第三夜
何度も何度も正太郎を呼び掛けていたが
朝日が昇るとどこかに消えてしまった。
二日目の夜も磯良の亡霊はやって来た。
今度は戸を叩く代わりに
家の壁をガリガリとかきむしり始めた。
「くわばら、くわばら…」
正太郎は恐ろしくて自慢のちんぽも縮み上がり、
もう二度と女など抱くまいと誓った。
三日目の夜、ここを乗りきれば祟りも収まる。
正太郎は一心不乱にお経を強く唱えた。
また、磯良はやって来た。
散々戸口を叩いたり引っ掻いた後に
さめざめと泣き始めた。
「こんなにもあなた様に
嫌われるとは思いませんでした
わかりました。
あなた様をあきらめてあの世に参ります
どうぞお幸せにお暮らしくださいませ」
そのような言葉を残したものだから
幸太郎のお経を唱える集中力が途切れた。
ふと、雨戸を見てみると、
微かな日差しが忍び込み
それと共に雀の軽快な鳴き声が
チュンチュンと聞こえてきた。
「やったぁ~~!
俺はとうとう三日間を耐えたのだ!」
正太郎は意気揚々と玄関の戸をガラッと開けた。