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第1章 夫婦生活

「ちょっとお父さん。たまには私も休みが欲しいんだけど。」

……。
俺だって休みはゆっくりしたいわい。
なんなんだよまったく。
だが…あずさが毎日頑張ってくれているのは事実。
ここで俺がめんどくさがって本音を言えば絶対喧嘩になる。
俺がこらえれば丸くおさまる。

『はいよ。』
後藤明彦の休日は、気だるさを押し殺して家事に勤しむ事から始まった。

公安系の公務員である明彦は土日祝日関係なく勤務が組まれ、休みも不定休。
たとえ勤務時間外だったとしても、緊急時には必要に応じて呼び出されて出動せねばならない事もあるため、飲酒が制限される日もあり、心から気が休まる瞬間は少ない。

呼び出し対応から外れた休日くらい、のんびりさせて欲しい。
だが、そんな日に限って妻あずさからの催促がくる。

あずさも疲れているのだ。
普段負担をかけている分、やらければ。
明彦は重い体を起こして家事をこなした。

今夜は久しぶりにセックスがしたい。
あずさと身体を重ねて愛を確かめ合いたい。

俺も休日に頑張ったんだ。
ご褒美を期待してもバチはあたらないはずだ。