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桜が咲く頃逢えたら
第11章 暗闇の中へ
祖母は、
「わたくしなんて、18で結婚して長男を産んでたわ?
学業なんてするより、
花嫁修業して、結婚して、お家のことした方が楽しいのに。
今も一緒に住んでいるんでしょう?
そう聴いたわ。
だったら、大学なんて辞めちゃって、
早く入籍して欲しいのよね?」と言うと、


「いやいや、瑞樹ちゃんは能力高いから、
勿体無いですよ。
東大ですよ?」と、
安西くんのお父様が言うのをぼんやり聴きながら、
安西くんのことを見上げた。


「僕は、瑞樹ちゃんがしたいことが出来るように頑張るだけなので。
入籍って…。
僕が婿入りなのかな?」と笑う。


「うちは良いですよ?
末っ子だし。
でも、出来たら、うちの事務所には入って欲しいけど」と安西くんのお父様が言う。

パパは、
「まだまだ結婚なんて先だと思っていて、
考えても居なかった。
婿入りなんて、悠介くん、窮屈じゃないのかな?」と言う。


「僕は…瑞樹ちゃんが一緒に居てくれるなら、
婿でも何でも構いません。
正直、執事みたいに一緒に居れるのでも良いって思ってるくらいで」と言うので、

「なに、それ?
執事って…。
それじゃあ、キスも出来ないじゃん」と、
アメリカから一時帰国している下のお兄様が言うので、
みんなが大笑いしてしまう。


「それより、子供、授かるかもしれないから、
本当に入籍だけはしておいたら?
順番違うと、子供が可哀想だよ?」と、
上のお兄様が言うので、
私と安西くんは紅くなってしまう。


「あの…指輪も何も、用意してないし…」と安西くんが言うと、
「そんなの、後でも良いから、
さっさと入籍しておきなさい。
瑞樹ちゃん、可愛いから、
のんびりしてると誰かに盗られちゃうわよ?」と、
明るい声で安西くんのお母様まで言った。


それで、手帳を見ながら大人達が話を更に始めて、
ホテルの副支配人が呼ばれて、
2月に婚約して、春休み中の3月3日に結婚式をするというスケジュールがあっという間に立てられてしまった。

その日、たまたまキャンセルが出て、
広めのお部屋が空いていたというのが決め手になったようだった。


2人の母親と祖母は、
ドレスや和装の話で盛り上がり、
父親達は、お呼びするゲストの話でメモをし始めるのを茫然と見ていた。


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