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桜が咲く頃逢えたら
第13章 桜が咲く頃逢えたら
少しの肌寒いけど、春の暖かい日差しも感じる中、
鳩居堂で香りの高いお線香と、近くのお花屋さんで供花を求めてから、
安西くんの車でお寺に連れて行って貰った。


お墓は既に綺麗に清められていて、
お花やお菓子、それにビールの缶がお供えされていた。

お線香は既に消えてしまっていた。


そっとお花を一緒に生けさせていただき、
お線香を手向けた。

2人で手を合わせていると、
遠くで鳥の声が聴こえてハッとしてしまう。

気づくと私の頬には涙が流れていた。


ふと立ち上がって、
そっとお墓の後ろを見た。

りんくんの名前の隣に、

亮平さんの名前と、
享年38歳という文字が刻まれていた。

数え年だから、
38歳なのね…と客観的に考えながらも、
震えてしまう。


「あの時が、最期に会えるチャンスだったのに私…」と口にすると、
後は言葉が続かない。


「でも、やっと認識出来ました。
亮平さんは、お空の上で、
りんくんや月(るな)ちゃんと一緒に居るのね」と、
安西くんに笑い掛けようとした。


「無理に笑わなくて良いよ。
いっぱい泣いて良いんだよ」と、
安西くんは私の手を握り締めてくれる。


ヨロヨロする私を支えるようにして、
お墓を後にした。



ようやく、
亮平さんが旅立ってしまったことを認識して出来た気がした。




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