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桜が咲く頃逢えたら
第4章 深まる関係
亮平さんは毎晩、電話をしてくれていた。

長電話ではないけど、
その日のこととか、
私の体調を気遣うような電話をして、
「瑞樹、おやすみ。
また明日」と締め括って終わった。


そして、土曜日に引っ越し荷物をまとめるのと、
簡単な掃除がしたいから、
手伝って欲しいと言われてその日は朝から出掛けた。


と言っても荷物はとても少なくて、
荷造りはあっという間に終わって、
床掃除や水回りの掃除を手伝った。

その間に、亮平さんは車で荷物を2往復して殆ど運んでしまった。


ルーティンの母からの電話の時間に家に帰ってシャワーを浴びて出ると、
また、亮平さんから着信があって、
「一緒に居たいから、来て?
引っ越し先の方に」と言われてしまう。


紘子さんの部屋のをノックしたけど、
返事がなくて、
どうやらまだ外に居るみたいだったので、
メモを残して、
念の為に着替えを持ってタクシーに乗った。


教えられた住所は、本当に家から近かった。

インターホンを鳴らして、
部屋のドアのチャイムを鳴らすと、
ついさっきまで一緒に居たのに、
ドアを開けた瞬間、強く抱き締められてキスをされる。


「んっ…あっんっ…。
苦し…」
と言うと、

「ごめん。
前の部屋は元妻の嫌な思い出ばかりだったから。
引っ越しして、
新生活スタートさせる初日には、
瑞樹と過ごしたかったしね?」と笑って、
私の手を引いて中に連れて入る。


少し広めのリビングの片隅にゲージがあって、
タロウが私を見て尻尾を振っている。

ソファが置いてある。


ダイニングテーブルはない代わりに、
カウンターキッチンの所にスツールが2つ、置いてあった。


「ネスプレッソのマシンとマグカップしかないんだ。
食器も鍋もなくて、
調理器具もないから、
瑞樹に選んで貰うよ?
家具もこれだけ」と笑う。


「寝室も見せたいな?」と言って手を引く。

リビングの隣が寝室で、
大きなベッドがひとつ。
それだけだった。


「カーテンもなくて、
瑞樹に選んで貰いたいんだ」
と言いながら、
私を抱き寄せてキスをすると、
髪を優しく撫でてくれる。


「今夜は…抱きたい。
最後までさせて?」と言われて、
私はそっと頷いた。



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