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桜が咲く頃逢えたら
第7章 桜咲く中、突然の別離
椅子やテーブル、飲み物の自動販売機のある待合室のような処に行ってみたけど、
亮平さんの姿はなかった。


「みーちゃん、ここに居てくれる。
2人で動くとすれ違うといけないから。
僕は、そうだな。
喫煙スペースとか、あちこち、グルリとしてくるから」と言って、
頭をポンポンとされる。


この部屋なら、携帯、繋がるようなので、
メールで、病院に居ることを伝えて、
祈るような気持ちで待つことにした。



暫くすると、
亮平さんが江川さんに抱えられるように待合室に来た。


お酒と煙草の臭いが酷くて、
私は咳き込んでしまった。


「亮平さん?
どうしたの?
大丈夫ですか?」と小さい声で言うと、
私を抱き締めて、
「りん、もう、ダメみたい。
生命維持装置、外しましょうかって言われて。
元妻に連絡したけど、
そんなことで電話して来ないでって言われてさ。
俺、決められないよ?
まだ3歳なんだよ?」
と肩を震わせて泣いている。


「ここの病院、お前の元嫁さんに訊いたけど、
冷たいよな。
判ってて本人はここに来ないんだ」と怒り混じりの声で江川さんが言った。


「今は何処に居るんです?
りんくん…」

「個室だよ。
ナースステーションの前の…」

「亮平さん、しっかりして?
顔洗って、歯磨きしましょう?
売店、そこにあるから買ってきますね?」と言って立ち上がって、
トラベルセットとタオルを買って渡した。


「小さい身体で最期まで闘ってるんでしょ?
お父さんがそれじゃあ、可哀想です。
とにかく、歯磨きして、顔洗って?
そしたら、お部屋に行きましょうね?
外で泣いてる時間も勿体無いです。
少しでも一緒に居てあげないと!」と泣き笑いしながら亮平さんに言った。


個室に入ると看護婦さんが機械をチェックしながら、りんくんを看てくれていた。

そっと頭を下げて、
「何かありましたら、ナースコールを…」と言って出て行った。



りんくんはとても小さくて、
呼吸も浅いのか胸も殆ど上下してなくて、
繋がれた機械の音で、
まだ、生きていてくれるのが判る状態だった。



「あの…。
私たち、さっきの待合室に居ますね?」と言うと、
目をそっと開いたりんくんが私を見て、
「ママ?」と微かな声で呟いた。
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