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桜が咲く頃逢えたら
第7章 桜咲く中、突然の別離
「えっ…?
私…」と言おうとすると、
「新しいママ?
パパが言ってた。
優しいお姉ちゃん…」
と一生懸命、辿々しい口調でゆっくり話す。
「うん。
そうだよ?
パパが大好きなお姉ちゃんだよ?
まだ、ママにはなってくれてないけど…」
「どうして?
僕が、良い子じゃないから?」
「違うよ?
りんは良い子だよ。
パパがね、
もっと頑張らないと、
ママにはなってくれないんだ」
「じゃあ、パパ、
頑張ってよ」と言って、
私に手を伸ばそうとするけど、
自分の手を動かす力も残っていないようだった。
私から近づいて、
そっと手を握ってあげると、
私を見上げて必死に笑おうとしているのが判って、
私は涙が溢れそうになる。
「生まれ変わったら、ママになってくれるのかな?」
と言われて、
涙が止まらない。
「私、ママになれるのかな?
今、ママになっても良いよ」と言うと、
ギュッと私の手を握り返してくれる。
「少し、眠る?
私、ずっと隣に居るからね?」と言うと、
りんくんは静かに頷いて、
昏睡するように深い眠りについてしまった。
江川さんが、私の為に椅子を置いてくれたので、
それに座って、
りんくんの手を握り締めていた。
江川さんは、
「会社に戻るよ。
何かあったらすぐ、連絡して?」と亮平さんに言い残して出て行った。
亮平さんは、隣に椅子を引っ張ってきて座ると、
「瑞樹、ありがと。
俺、動転しちゃってさ。
みっともないトコ、見せちゃったな。
これじゃあ、父ちゃん、失格だな」と言って、
私の肩を抱き締めた。
その日は奇跡的にりんくんの状態が持ち直して、
3人で静かな夜を過ごせた。
私はすっかり、
実家からのルーティン家電話のことも、
紘子さんに説明しておくことも忘れていた。
私…」と言おうとすると、
「新しいママ?
パパが言ってた。
優しいお姉ちゃん…」
と一生懸命、辿々しい口調でゆっくり話す。
「うん。
そうだよ?
パパが大好きなお姉ちゃんだよ?
まだ、ママにはなってくれてないけど…」
「どうして?
僕が、良い子じゃないから?」
「違うよ?
りんは良い子だよ。
パパがね、
もっと頑張らないと、
ママにはなってくれないんだ」
「じゃあ、パパ、
頑張ってよ」と言って、
私に手を伸ばそうとするけど、
自分の手を動かす力も残っていないようだった。
私から近づいて、
そっと手を握ってあげると、
私を見上げて必死に笑おうとしているのが判って、
私は涙が溢れそうになる。
「生まれ変わったら、ママになってくれるのかな?」
と言われて、
涙が止まらない。
「私、ママになれるのかな?
今、ママになっても良いよ」と言うと、
ギュッと私の手を握り返してくれる。
「少し、眠る?
私、ずっと隣に居るからね?」と言うと、
りんくんは静かに頷いて、
昏睡するように深い眠りについてしまった。
江川さんが、私の為に椅子を置いてくれたので、
それに座って、
りんくんの手を握り締めていた。
江川さんは、
「会社に戻るよ。
何かあったらすぐ、連絡して?」と亮平さんに言い残して出て行った。
亮平さんは、隣に椅子を引っ張ってきて座ると、
「瑞樹、ありがと。
俺、動転しちゃってさ。
みっともないトコ、見せちゃったな。
これじゃあ、父ちゃん、失格だな」と言って、
私の肩を抱き締めた。
その日は奇跡的にりんくんの状態が持ち直して、
3人で静かな夜を過ごせた。
私はすっかり、
実家からのルーティン家電話のことも、
紘子さんに説明しておくことも忘れていた。