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桜が咲く頃逢えたら
第8章 逢いたい
「ヒロちゃんがここ、教えてくれたんだよ。
だから、今、瑞樹を連れ帰る訳にはいかない。
ヒロちゃんの顔を潰してしまうからね?
俺、寂しくて、
またアル中みたいな状態になるトコだったよ。
でも、こうやって瑞樹と会えるなら、
大丈夫。
仕事もしっかりやって、
ご両親にも認めて貰えるように頑張るから。
4月からまた、大学だよね?
そしたら、会う時間も作れるよ。
4月最後の土曜日は、
りんの四十九日をお寺でするから、
良かったらりんと最期のお別れ、して欲しいな」


亮平さんの言葉を一つたりとも逃さないように、
胸に刻む。

そして、小さな袋を渡される。
中を見ると、スマホが入っていた。


「携帯ないと、声も聴けないし、
何かの時にいつもヒロちゃんとかに頼めないから。
でも、なるべく電話は控えるよ?
これまで没収されたら、
連絡の手段、なくなるからな」と言って笑った。



「瑞樹と桜、観れて、
本当に良かった。
毎年、一緒に桜を観れるように、
俺、頑張るよ?」と、額にキスをしてくれる。


「私も…」
それしか言えなかった。


「瑞樹、笑って?
うんうん。
やっぱり、瑞樹は笑顔が一番だな」と言いながらも、
亮平さんも涙ぐんでいた。


「ヒロちゃん、本当にありがとう。
皆さんもありがとう」と言うと、
亮平さんはもう一度私を抱き締めて、
永遠に感じるほど長いキスをしてくれて、
頭をポンポンとした。


「じゃあ、行くね?
まだ、仕事中だったんだ。
元気出たよ。
そうだ!
写メ撮ろうか?」
と言うと、
私にくれたスマホと亮平さんのスマホで写真を撮った。


「よし。
これ見て、頑張るよ」と言うと、
名残惜しそうに頬や瞼にキスをして、
「行かないとな。
離れられなくなる」と笑って、
去って行ってしまった。


追い掛けたいのに、
脚が震えて歩けなかった。


「瑞樹さん、大丈夫?」と、
紘子さんが私を支えてくれる。


「紘子さん、ありがとう」と言って、
そのまま崩れ落ちるように泣いてしまった。

その涙は、
寂しさと嬉しさが混ざり合ったものだった。


次は…4月の最後の土曜日。
その日には絶対に会える。


そう思って、
そっとスマホを抱き締めた。



そんな私を安西くんは寂しそうな顔で見ていたのに、
私は気がつかなかった。



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