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永眠を捨てた青少年
第3章 3
「どうして本名知ってるんだ? って顔してますなあ」
禍須賀はそう言いながら、小霧に向けて右手を伸ばし手のひらを上にして、刀を早く渡せと言わんばかりに揃えた指を動かす。
小霧は、手にしていた刀を禍須賀の足元に向けて放り投げた。
禍須賀はしずを左腕でしっかり抱えたまま、しゃがんでその刀を拾いながら言う。
「もちろん、本名にたどり着くのは超難問だったよ……こんなに相手の素性を調べるのに苦労したのは初めてだった。いろんなルートで調べても、どうにも判然としない。必ず情報が途切れて、たどれないようになっている……正直、お手上げだったなあ」
小霧は、動かずに立ったままじっと禍須賀を見ている。
禍須賀が右手につかんだ刀の切っ先を小霧に向ける。
「実を言うとですな、本当に名前が分かったのはついさっきなんだな……まず俺は、頭撃たれても生き返ったってバカみたいな報告が事実だと認めてみた。その上で……ウチの監視カメラの記録じゃなく、現物のお前を見てみたら? あらビックリ、本物の小霧だわ、ってね」
「まるで知り合いみたいな言い方ですね」小霧は静かに言う。
「だって知り合いなんだもん」
「僕にはあんたみたいな気持ち悪い知り合いはいません」
「それが『父』に対して言う言葉かねえ? 情けねぇなあ、そんな人間に育てた覚えはないこともないが」
禍須賀はそう言いながら、小霧に向けて右手を伸ばし手のひらを上にして、刀を早く渡せと言わんばかりに揃えた指を動かす。
小霧は、手にしていた刀を禍須賀の足元に向けて放り投げた。
禍須賀はしずを左腕でしっかり抱えたまま、しゃがんでその刀を拾いながら言う。
「もちろん、本名にたどり着くのは超難問だったよ……こんなに相手の素性を調べるのに苦労したのは初めてだった。いろんなルートで調べても、どうにも判然としない。必ず情報が途切れて、たどれないようになっている……正直、お手上げだったなあ」
小霧は、動かずに立ったままじっと禍須賀を見ている。
禍須賀が右手につかんだ刀の切っ先を小霧に向ける。
「実を言うとですな、本当に名前が分かったのはついさっきなんだな……まず俺は、頭撃たれても生き返ったってバカみたいな報告が事実だと認めてみた。その上で……ウチの監視カメラの記録じゃなく、現物のお前を見てみたら? あらビックリ、本物の小霧だわ、ってね」
「まるで知り合いみたいな言い方ですね」小霧は静かに言う。
「だって知り合いなんだもん」
「僕にはあんたみたいな気持ち悪い知り合いはいません」
「それが『父』に対して言う言葉かねえ? 情けねぇなあ、そんな人間に育てた覚えはないこともないが」