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永眠を捨てた青少年
第3章 3
(5)
「遅くなってしまい申し訳ございません」
雀之丞は静かにそう言いながら、小霧に向けて彼が持参した新しい刀を放り投げた。
小霧はそれを受け取るや否や、すばやく鞘から抜いて龍玄の目の前で刀を構える。
龍玄も反射的に向かい合って刀を構えた。
雀之丞は右手で龍玄に銃口を向けつつ、左腕で胡珀の体を支えるように抱き寄せながら、ホール全体に通る低い声で言った。
「お初にお目にかかります、鹿狩龍玄どの。途中まであなたの家来を嫌々やっていた鷹之丞の末裔、雀之丞でございます……以後、お命が終わるまでの残り短い間、お見知りおきを」
龍玄は舌打ちするとしずの方へ体を向けようとしたが、すかさず小霧がそれを牽制する言葉を放った。
「しずの方へ足を一歩踏み出すよりも、僕があんたを斬る方が速いですよ」
「……それだけの傷、まだ治ってないのに痛みでそんなにすばやく動けるかよ」
「どうぞお試しください」
スーツは裂かれ、全身いたるところを自らの血で赤く染めている小霧は平然と言った。
小霧と龍玄は、お互い刀を構えたままにらみ合う。