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永眠を捨てた青少年
第3章 3
 中には梅の髪飾りが入っていた。
 小霧はそれをしずの髪につけた。
 しずがやわらかい笑顔を見せる。

「しず……傷を治すのに体力を全部使っているので……寝落ちする前に言っておきます」
 しずが静かにうなずく。

「……僕は本当につまらないことを怖がっていました。今度も、僕の方があなたに先に置いていかれることは分かりきっています。けど、それで構わない。それまでの間、僕と一緒に居てください」

 しずは泣きそうな顔で笑いながら、うつむき、指で髪飾りをいじり、天井を見上げ、そしてまた小霧の顔を見た。

「……私の方が先におばあちゃんになっちゃいますけど、可愛いおばあちゃんになって、そして最後に小霧さまを置いてきぼりにしていきますね!」

 満面の笑みをみせるしずの顔を、小霧は両手を伸ばして引き寄せた。
 そして小霧は自分の唇をしずの唇に重ねた。
 互いの舌が、求め合うように、むさぼるように動く。

 小霧もしずも——どちらも心臓が激しく鼓動していることを自覚した。
 それは痛いほどだった。何か鋭いものが心臓を刺し——脳の芯を突き抜けていくような感覚に包まれた。
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