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永眠を捨てた青少年
第1章 1
「いっそ酔い潰れた方が取り乱さずにシズクの帰りを待てるかもしれんしな」
禍須賀がそうつぶやくと、祓村は扉を開けて静かに出ていった。
その姿を目で追うこともなく、禍須賀は眉間にしわを寄せたまま、白い天井を見つめていた。
※ ※ ※
夜空にはまだ花火が上がり続けている。これから迎えるクライマックスをより盛り上げようとする演出なのか、今はじらすようにゆっくりとしたテンポで小さめの花火がひとつひとつ上がっている。
浴衣の若い男は握っていた黒い木刀を浴衣の帯に刀のように差した。
彼の足元には、抵抗する間もなくあっという間に打ちのめされて血だらけになっている三人の男がぶざまに倒れていた。死んではいないようだが、完全に意識は飛んでしまっている。
女性は、スキンヘッドの男に通された首の縄もそのままに、椅子の上で足を小刻みに震わせて動けずにいる。
浴衣の男はゆっくりと女性に近づいて、やがて正面までやってくると、さらに彼の顔を女性の顔の間近までもってきた。
それまで、ときおり花火が放つ光で互いの顔が見えはしたものの、明瞭だったわけではない。だがここまで近づくとさすがにはっきりと見える。
禍須賀がそうつぶやくと、祓村は扉を開けて静かに出ていった。
その姿を目で追うこともなく、禍須賀は眉間にしわを寄せたまま、白い天井を見つめていた。
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夜空にはまだ花火が上がり続けている。これから迎えるクライマックスをより盛り上げようとする演出なのか、今はじらすようにゆっくりとしたテンポで小さめの花火がひとつひとつ上がっている。
浴衣の若い男は握っていた黒い木刀を浴衣の帯に刀のように差した。
彼の足元には、抵抗する間もなくあっという間に打ちのめされて血だらけになっている三人の男がぶざまに倒れていた。死んではいないようだが、完全に意識は飛んでしまっている。
女性は、スキンヘッドの男に通された首の縄もそのままに、椅子の上で足を小刻みに震わせて動けずにいる。
浴衣の男はゆっくりと女性に近づいて、やがて正面までやってくると、さらに彼の顔を女性の顔の間近までもってきた。
それまで、ときおり花火が放つ光で互いの顔が見えはしたものの、明瞭だったわけではない。だがここまで近づくとさすがにはっきりと見える。