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永眠を捨てた青少年
第1章 1
「分かってはいるが……俺にとってシズクはこの世の何にも代えがたい大事な娘なんだ!」
「そのお言葉を聞くのは二千八百九十三回目です」
「……当たり前のことでも口に出せば少しは気がまぎれるものだろう?」
「同感でございます」
「……祓村、お前の物言いはところどころずれていて、カンに障るよな」
「さようでございますか」
「……が、そこがいい。周りにイエスマンしかいない俺には、心地がいい」
「そのお言葉を聞くのは二十八回目です」
「そんなに少なかったかな」
「私よりもお嬢様の方が大事であるという、世間一般的に見ても至極当然の感情の結果であると思われますが」
禍須賀は上半身を起こし、ソファにもたれて深く座った。
ため息がもれる。
「シズク……」
壁にかけてある時計を見る。八時半あたりを指している。
しばらくの沈黙のあと、禍須賀は口を開いた。
「祓村……酒を持ってきてくれ」
「強めのものにしておきましょうか?」
「そのお言葉を聞くのは二千八百九十三回目です」
「……当たり前のことでも口に出せば少しは気がまぎれるものだろう?」
「同感でございます」
「……祓村、お前の物言いはところどころずれていて、カンに障るよな」
「さようでございますか」
「……が、そこがいい。周りにイエスマンしかいない俺には、心地がいい」
「そのお言葉を聞くのは二十八回目です」
「そんなに少なかったかな」
「私よりもお嬢様の方が大事であるという、世間一般的に見ても至極当然の感情の結果であると思われますが」
禍須賀は上半身を起こし、ソファにもたれて深く座った。
ため息がもれる。
「シズク……」
壁にかけてある時計を見る。八時半あたりを指している。
しばらくの沈黙のあと、禍須賀は口を開いた。
「祓村……酒を持ってきてくれ」
「強めのものにしておきましょうか?」