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特別棟の獣
第15章 離れる心
来客用の駐車場にバイクを停めてエントランスに向かおうとすると声をかけられた。


「來?」


タイミング良すぎだろ…


「急用だったんじゃねぇの?」


「もう終わったけど。なんか用?」


さっきまでの機嫌の悪さはどこいったんだよ。


「百合に差し入れ」


「は?百合に?」


百合の名前を出すと少し機嫌が悪くなる。


わかりやす…。


「まぁいいや、部屋どこか分かんねぇし、吏生さんから渡しといて」


袋を渡すと、中身をちらっと見た吏生さんは早足でエントランスに入って行った。


俺の話、少しくらい聞いてくれても良くね?


まぁいいや。


どうせ吏生さんは百合を手放したりはしないだろうし、誤解は直ぐ解かれるだろ。


たまには吏生さんも困ればいい──
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