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特別棟の獣
第18章 女の深い嫉妬
その後、保健医が来て百合は病院に運ばれた。
頭を強く打ったせいで脳震盪を起こしたらしい。
肩や背中にも痣があったけど、骨に異常はなく、打撲。
念の為今日は検査入院で、明日退院できるらしい。
病室で寝てる百合の隣に座っていると、ガラッとドアが開いた。
「あら、もしかして吏生くんかしら?」
入ってきたのは百合に良く似た綺麗な女性だった。
聞かなくてもわかる。
百合の母親だ。
「百合さんとお付き合いさせていただきます、桐谷吏生です」
「そんなに畏まらなくていいわよ、話は主人からも翼からも聞いてるわ。百合を大事にしてくれてるって」
今までの俺の事を知られたら嫌われるだろうか…
今回の事も俺のせいで百合がこんな目に合ってるのに…
「申し訳ありません…、俺が付いてなかったばかりにこんな事になってしまって…」
「あらやだ、頭上げてちょうだい、吏生くんのせいじゃないわ」
ここに来るまでの間、こうなってしまった経緯を知らされていたらしい。
「女って怖いでしょう?」と笑いながら話す百合の母親は自分も同じ目にあっていたことを話してくれた。
「主人は学生の頃から人気者で私も女の子たちから嫌がらせを沢山されてきたの。ネチネチしてるのが嫌いでね、言い合いの喧嘩をしたこともあったのよ?でも自分の子がこんな思いをしてるのはやっぱり心が苦しいの」
俺が俯くと「だからって吏生くんを責めてるわけじゃないのよ」と付け足した。