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特別棟の獣
第20章 旅行前
ある日、本屋さんで北海道の旅行ガイドブックを買って部屋で読んでいると隣から吏生の不満そうな声がした。


「ねぇ百合、本ばっかでここ数日俺の存在消えてない?」

「え?そんな事ないよ?」


旅行に行く日程が決まってから、旅行会社に飛行機とレンタカー、旅館の予約をして後は行くところを決めるだけになって私はワクワクしていた。


「大体はもう決まってるんだからもっと俺に構ってくれない?」

「だって夜は吏生がベッドから出してくれないから昼間見るしかなくて…」

「じゃあ今日は逆にしよ。昼間俺に構って、夜は百合の自由にしていいよ」

「分かった」


私は吏生を甘く見ていた。


昼だからそういう事はしないって思い込んでしまっていた。
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