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特別棟の獣
第21章 北海道旅行①

駐車場に車を停めて外に出て少し歩けば、観光客が結構いた。


沢山お店が並ぶ観光地だから当たり前か。


「百合、はぐれないでね」

「うん」


さり気なく差し伸べてくれる手を握ると、吏生は満足そうに前を向いて歩き出した。


色んなお店を見て回って気になったお店でご飯を食べて、買い物をしたりして、いつもと違う雰囲気を楽しんでいた。


たまに私の足が疲れていないか気にしてくれたりする所はいつもと変わらず優しい。


出会った頃とはまるで印象が逆。


ぼーっと歩きながら吏生を見ていると「どうしたの?」と顔をのぞき込まれた。


「出会った頃と印象が逆になったなぁと思って」


「あー…、もう忘れてほしいくらいだけど、あの出会いがなかったら百合と今一緒にいないかもしれないって思ったら無理矢理にでも捕まえて良かったって思ってるよ」


その通りだ。



今が幸せだからそれでいい。


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