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特別棟の獣
第26章 最愛の人は特別棟の獣
「長かったなぁ…。4月から仕事とかダル」
「來が仕事してるところなんて想像できない」
「いいよな〜。お前は専業主婦だもんな」
「少しでいいから働いてみたかった」
卒業式が終わって吏生を待っている間、來とベンチに座って話をしていた。
他愛もない事を話せるのはこの大学には來しかいない。
女の子たちからは恨み、妬みの目で見られてしまうのは吏生が卒業しても変わらなかった。
だから大学に来てからも友達と呼べる人はいなかったけど、來がいつもそばに居てくれたからなんとかやってこれた。
吏生と一緒にいる限り、來とも頻繁に会うって言われてるから卒業しても寂しくなかった。
「つーか、今家建ててるんだろ?」
「うん。かなり広いから良かったら遊びきて」
「蒼さんと遊び行くわ。吏生さんもやる事早すぎだろ。結婚式挙げたらまた直ぐに新婚旅行って言ってたし金持ちはすげぇな」
「來も人のこと言えないでしょ…」
「お前と吏生さんちは別格だろ」
確かに最近は忙しかった。
家の内装を決めたり、結婚式の事も色々決めたり、新婚旅行の事も旅行会社に聞きに行ったりしていた。
やっと全部決め終わって卒業式まできた。