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特別棟の獣
第26章 最愛の人は特別棟の獣
豪華なイタリアンを食べて満足して家に帰ると、宣言通り、吏生は私を抱き潰した。
次の日の朝、重い身体に鞭を打って市役所に行く羽目になったのは言うまでもない。
「御結婚おめでとうございます」という役所の人に笑顔を向けたけど、吏生に笑顔を向けられるほど私は心が広くない。
なぜなら……
「今日は桐谷になった記念にいっぱいシよ?」
とか朝言い出したから。
毎回吏生の言うことを聞いていると、次は結婚式前にとか、旅行前にとか言い出しそうだから。
次の日にまで響くと色々と楽しめなくなりそう。
「百合、ごめんって…」
「もう吏生なんて知らない」
「新婚一日目から喧嘩は辞めよ?」
「誰のせいだと思ってるの?」
「ごめん、なんでも言うこと聞くから。ね?」
喧嘩なんてするつもりないよ。
私はその言葉を待ってただけだから。
“なんでも言うこと聞くから”
その言葉をね。