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特別棟の獣
第26章 最愛の人は特別棟の獣
「前にも同じこと話したけど、出会いは百合にとって最悪だったかもしれないけど俺はあの時抱いて良かったって思ってるよ」

「………そうだね」



あの時はいっぱい泣いたし、吏生の事が嫌いで堪らなかった。


大学で会わないように避けていたし。


あの特別棟には獣が3人いるって勝手に想像して近づかないようにしていたのに、いつの間にか吏生に捕まって私はそこに住みつくようになっていった。



今じゃいい思い出かも。



「百合、今日で朝倉じゃ無くなっちゃうね」

「うん」

「桐谷百合かぁ。いい響き」


自分で言うんだ…

まだ慣れそうにないけど、いつか慣れるかな。




そう、私たちは明日市役所に婚姻届を出しに行く。


正式に夫婦になる。



「今日が恋人最後の日だしさ、帰ったらいっぱいシよ?」

「え………、何を?」


なにか企んでそうな笑顔をこちらに向けてくる。

嫌な予感がする。


「え?何って分かってるでしょ?」

「分かんない…」

「百合、生理終わったよね?」

「…………」



やっぱり吏生は変。


私は変じゃないよね………?
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