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特別棟の獣
第3章 お気に入り
講義が終わってノートをバッグに仕舞って直ぐに教室を出て階段を駆け下りた。
「なぁ、ちょっと待てよ」
誰かの声がしたけどきっと私じゃない。
この大学に友達と呼べる人はいないから足は止めなかった。
「お前のこと呼んだんだけど」
「きゃッ…」
腕をグイッと引かれて、思いっきり身体が傾いて転びそうになった。
でもそれは後ろにいた人によって阻止される。
「お前経済学部?」
「あ、はい…」
「マジか、今日まで気付かなかったとか損してた気分だわ」
その人はそう言うと、掴んだ腕に力を入れて「こっち来い」と引っ張ってくる。
「ちょっ!私帰りたいんです…」
「少しくらいいいだろ」
なんなの…
人の話なんて聞いてくれない。
自分勝手な人……