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特別棟の獣
第3章 お気に入り

部屋に着いてヒールを脱ぐと、逃がさないとばかりに抱き上げられてソファに座らされた。

正しくは吏生さんの膝の上に横抱きにされてるんだけど…


「普通に座りたいです…」

「3日も放置されて寂しかったんだからこれくらい許して」


これくらいって…

密着した身体が徐々に火照ってきてしまう…


持っているバッグを抱き締めるように握って俯く。


「俺の事嫌い?」

「嫌い」

「そっか…」


俯いているから吏生さんがどんな顔をしているか分からないけど、声は少し悲しそうだった。

でも、だからといって引き下がるわけにはいかない。


「吏生さんには関わりたくないです。私はもう戻ります」

「駄目」

「あなたに指図される覚えもないです」

「でももう百合ちゃんのこと気に入っちゃったし」

「やだっ!なんで私なの…、吏生さんに寄ってくる人なんていっぱいいるじゃないですか!」

「そんな奴らどうでもいいよ」


どうにかして早くこの部屋から出たい…

もうあんな事するのは嫌だ……




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