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特別棟の獣
第6章 開き始める心
「百合ちゃん?どこ行くの?」
貰ったお水のペットボトルをバッグに入れて立ち上がると、腕を掴まれた。
「帰ります…」
「もう少し一緒にいたいんだけど」
「………嫌です」
「分かった、じゃあ送らせて」
一緒にいると何されるか分からないし、ずっと拒否していれば、そのうち諦めてくれるかもしれない。
大学の門を抜けると「どっち?」と顔を覗かれる。
家まで送る気なのかな…
「ここでいいです…」
「駄目」
「あっちです…」
特に話すこともなく、いつもの道を歩くとマンションが見えてきた。
傍から見たらカップルに見えるだろうな。
バッグは吏生さんが持ってくれているし、持っていない方の手は私と繋がれているし。
大学を出るまでは周りの視線が怖かったけど、ここまで来れば周りに人はいないし気持ちは落ち着いた。