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特別棟の獣
第6章 開き始める心

「これが一番落ち着くからさ」

「………私は嫌です」


だって目の前に吏生さんの顔があって、身体も密着してる。

こんなの慣れてないから心臓がずっとドキドキしてるし、なにかされるんじゃないかってビクビクしちゃう…




「夏休み何するの?」

「実家に帰ります」

「いつから?」

「決めてないです」


吏生さんのことだから、なにかされると思ったけど普通の会話で少し拍子抜け。

あと2週間くらいすれば夏休み。

大学の夏休みは長くて2ヶ月もある。


1人でマンションにいてもすることも無いし、夏休みに入ってすぐお父さんの会社のパーティーがあるからお兄ちゃんについて行くからすぐにでも帰ろうとは思ってるけど…


「たまにはデートしようよ」

「え……」


吏生さんと…?

全然想像もつかないし、吏生さんと出かけたらそれこそ注目の的になりそうで嫌…


「俺、夏休みの最初は予定あるけどそれ以降は暇だし」

「そうですか…」


最近は吏生さんと一緒にいすぎて、嫌いって訳じゃなくなったけど私といても絶対楽しくないのに…
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