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特別棟の獣
第7章 夏休み①

夏休みに入って最初の土曜日。


今日はお父さんの会社である朝倉コーポレーションのパーティー。

定期的に開かれるこのパーティーは普段お世話になってる企業に参加してもらうもの。


私も去年からこのパーティーに来ているけど、まだ学生だから豪華なケータリングをお兄ちゃんと食べるのが目的。

っていっても、次期取締役のお兄ちゃんにも挨拶に来る人は多い。

殆どが令嬢だったりするけど…



今はその会場にもう少しで着く。

食いしん坊のお兄ちゃんは運転しながら上機嫌で鼻歌なんて歌ってるし…


「そんなに楽しみなの?」

「当たり前だろ?久々に百合と飯食えるしな~」


6個も年が離れているせいか、お兄ちゃんはすごく優しい。私と違って身長も高いし、万人受けするイケメン。

スーツを着ているから普段より何倍もカッコイイと思う。


「大学で彼氏でもできた?」

「え…?」


突然そんなこと言われて心臓が飛び出そうだった。

吏生さんとの関係を知られたくないから「そんなことないよ」と普段通り会話して違う会話にもってこうとしたけど、

「じゃあ好きな人でもいる?」

と言われてしまう。


「いないけど…」

「じゃあ俺の勘違いかぁ」

「どうして?」

「なんか今日は色っぽいから」

「……ドレス着てるからじゃないかなぁ」


今回はちょっと大人っぽいベージュのシフォンドレスを選んだから、そのせいだと思うけど…
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