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特別棟の獣
第7章 夏休み①
「よし、着いたぞ」


気がつけば車はお父さんが経営してる高級ホテルのエントランス前まで来ていた。

色んな事業に手を出してるお父さんはこのホテルで毎回パーティーを開いている。

そして最上階のスイートルームに泊まらせてくれるからそれが楽しみ。




ドアに手を掛けて出ようとすれば「待て待て」とお兄ちゃんに止められてしまう。

なんだろう?と首を傾げていると、外に出たお兄ちゃんは助手席のドアを外から開けてくれた。

ドレス着てるから気を使ってくれたのかな。


「大丈夫なのに…」

「そんな格好で一人でいたらそこら辺の飢えた男に食べられちゃうぞ」


………。

こんなところでそんな下品な人はいなそうだけど、黙ってお兄ちゃんにエスコートされることにしよう。


「この荷物、最上階の部屋に運んで」

「畏まりました」


お兄ちゃんはホテルマンにそう言うと、上機嫌に会場に向かっていく。
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