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「ヴァーチャル奴隷」契約(文字だけでイカせてくれますか?)
第169章 大通公園
「あっ・・・・」

小さな手から、それが啓介の顔をかすめるように飛んで地面に落ちた。

「ハハハ・・・元気な赤ちゃんだ・・・・」

啓介が笑いながら「ガラガラ」を手に取ると、細い指がそっと重なってきた。

「名前は・・・ケイ・・・です・・・
 御主人様・・・」

耳元で囁く熱い吐息に、啓介は固まってしまった。

由美は含み笑いをしながら「ガラガラ」を手に取ると、ハンカチで拭いて赤ちゃんの手に返した。
ようやく立ち上がった啓介に向かって、もう一度、深々とお辞儀をした。

「では、坂口さん・・・ここで失礼します。
 どうか、お元気で・・・」

顔を上げた天使の表情は、啓介の胸の鼓動を鳴らすには十分な美しさだった。

「こちらこそ、会えて・・・
 本当に嬉しかったです。
 どうか、お元気で・・・」

何とか言葉を繋ぐと、キャリーバックの音を立てて駅までの道に向かった。

「さようならぁ・・・」

背中越しに聞こえた声に振り向くと、信号の下で手を振ってくれていた。

啓介も手を振ると、そのまま駅に歩いていくのだった。
美しい天使の顔が目に焼き付いている。

今日の昼食はやめようと思った。
きっと、喉に通りそうもないだろうから。

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