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熱帯夜に溺れる
第5章 沈殿する夏、静止する冬
 たっぷりと蜜で濡れた指先でクリトリスをいじられて、でもそれだけでは物足りなくて、莉子はとろんとした瞳で彼を見上げた。

「ふっ……、ァア……、純さん……お願い……」
「してほしいこと、ちゃんと言って?」
「アッ、ン、……指……中に入れて……クリも……触るだけじゃなくて……」

 莉子のお願いの最中も純は穏やかに笑って莉子の蜜壺に指を添える。指が壺の割れ目を上下に行き来するたび、クチュッとやらしい水音が漏れ聞こえた。

「触るだけじゃなくて?」
「……クリも……おマンコもいっぱい舐めてぇ……」

 顔を赤らめて口にした莉子のお願いに頷いた彼の指が湿潤めがけてとぷんと沈んだ。彼女は自分から両脚を開いて、もっと奥へと純の指を呑み込んでいく。

「アァンッ!」
「今日の莉子、ほんと淫乱だな。自分から脚広げて、おマンコなんて恥ずかしいこと言って、変態サンタさん」
「ァッ、純さんが……言わせたんでしょお? ンッ、ハァン!」

 グチュグチュ、クチュ……膣壁に擦り付けられる指が気持ちいいところに当たる。視界にいたはずの純の顔が見えなくなったのは、莉子にもうひとつの快楽を与えるため。

「ァッ、ハァンッ!」

 蜜壺に、にゅるりとした感触が伝わって快感で震える。蜜を吹き出す割れ目を純の舌が舐め回した。
 念願のクリトリスへの愛撫を受けて莉子は熱い吐息を漏らす。だが、気持ちよさの裏側で彼女は下腹部の違和感を覚えた。

「あの……、純さん……」
「どうした?」
「おトイレ……行きたくなっちゃった」

 羞恥まみれに発した声は消え入りそうに小さい。莉子のクリトリスに口をつけていた純が顔を上げ、ふたりの視線が交わった。

「おしっこの方?」
「うん……」

 先ほどクリスマスケーキを食べる際に飲酒をした。その後は純が淹れてくれたコーヒーも飲んだ。
 アルコールとコーヒーの利尿作用も相まって尿意で下腹部がムズムズする。

 セックス中のトイレの申告はせっかくの甘い雰囲気を壊してしまうから、できれば行為が終わるまで我慢したい。これまでも尿意を我慢した経験はあるし、今夜も我慢できるかと思っていたのだが。

(お酒とコーヒーの利尿作用、半端ない。今度からは続けて飲むのは止めよう……)

 今夜の尿意は我慢できそうもない量だと確信がある。
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