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熱帯夜に溺れる
第2章 夏の夢
 しかし何故か最初から莉子には厳しかった。仕事でわからないことを尋ねると時折、それくらい自分で考えろよと言いたげな冷めた眼差しを送られることもある。

 誰にだって好き嫌いはある。誰かに嫌われても気にしないタイプの莉子にはどうってことはない。ただ莉子にだけ向けられる荒木のあからさまな嫌悪や敵意には、竹倉純も含めた周囲も気付いている。

 以前、荒木がいない日の勤務中に荒木と親しげに話していた雑貨レジ担当の女性店員同士の雑談を、莉子はこっそり耳にしてしまった。

 荒木の莉子への嫌悪や敵意の理由は、独身のアラフォーオバサンが若くて可愛い女の子を妬んでるからだとか、荒木のお気に入りである主任が新人の莉子に目をかけていてそれが気に入らないだとか……。

 しかし主任と言えば既婚者ではなかったか? と、その時に莉子は思ったものだ。まさか荒木が既婚者である主任に熱を上げていたとは驚きだ。

 あの女性達は表では荒木と仲良くしているくせに、裏ではアラフォー独身な荒木を小馬鹿にして悪口を言っている。女はつくづく嫌な生き物だ。

「困ったことがあれば相談に乗るからね。なんでも言って」
「はい。ありがとうございます」

 こそこそ会話をしていた莉子達は噂の的である荒木の姿が見えて口を閉じた。

 閉店後、更衣室に駆け込んで身支度を整える。あいにく特別お気に入りの服ではないが、例の作戦実行にはやむを得ない。

(背に腹は代えられない……は、使い方違うか。でも聞くなら今日しかないよね。純さんに話しかけてもらえて、心配してもらえた)

 嬉しくて口元の緩みが止まらない。気を抜くと笑い声が漏れてしまう。
 不自然に口元を押さえて着替える莉子に背を向けて先に荒木が更衣室を出ていった。

 莉子も女子更衣室を出て事務室を通り、エレベーターのある廊下に出ると予想通り竹倉純がいた。けれど今日は他の社員達もいてエレベーター前には人だかりが出来ている。

 狭いエレベーターは全員を輸送するには定員が怪しい。ここにいる人間は莉子を入れて7人だ。

 ギリギリ全員が乗れたエレベーターは1階に向けて降下する。莉子と純は奥に詰めた。隣同士になった彼と腕が少し触れてドキッと胸が高鳴る。

 この二の腕に今すぐ抱き締められたい。胸板に顔を埋めたいと思ってしまう。
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