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熱帯夜に溺れる
第1章 梅雨と乙女心
 街に小雨が降り注ぐ6月第1週の火曜日、時刻は20時40分を過ぎたところ。

「ありがとうございました」

 店の名前が入る袋にノートやボールペンを入れ、シールで丁寧に封をしてから佐々木莉子は女性に笑顔で手渡した。

 青陽堂《せいようどう》書店はこの地方では名の知れた有名大型書店だ。莉子の地元や隣街でも本屋と聞けば誰もが青陽堂の名を思い浮かべる。
 本店は市内で最も大きな鉄道駅がすぐ側にある駅前の大通りに所在する。

 外観はかろうじて綺麗でも細部の老朽化が目立つ5階建ての本店ビルは、1階から4階までが店舗、5階は事務所と社員の更衣室だ。

 1階は文庫や新書などの書籍売り場、入り口を入ってすぐの目立つ場所にはベストセラーや人気文庫がランキング順に陳列されている。

 2階は様々な専門分野の専門書が並び、3階は文房具兼、雑貨売り場と、連絡通路を渡った向こうには芸術書物のコーナーとなる。中学、高校時代はここの文具売り場で頻繁に文房具や雑貨を購入していた莉子が最もお世話になった場所だ。

 4階はアニメ、ゲーム関連の本やグッズ売り場と社員用の休憩室。
 それぞれのフロアに売り場の店員がいて、莉子は3階の文具売り場で働いている。

 文具売り場でバイトを始めて3ヶ月、だいぶ仕事にも慣れてきた。
 間もなく閉店時刻の21時。そろそろビル全体に閉店のお知らせのメロディが流れる頃だ。

「じゃあこっちのレジ締めちゃおうか」

 莉子の横に長身の男が立った。その瞬間、彼女の心臓がドキッと音を鳴らす。

「……はい」

 男の顔を見ないようにしてふたつあるレジのひとつに向かった。莉子はレジ締めの手順を思い出して、先輩に教えられた通りに作業をこなす。

「佐々木さん、手際よくなったね。慣れてきた?」

 男が後ろから莉子の手元を覗き込んだ。背後に感じる彼の存在が気になって顔が熱くなり、作業に集中できない。

「まだまだです。覚えることが沢山でなかなかスムーズにできなくて……」
「学校もあるから大変だよね。ゆっくりやっていけばいいよ」

 莉子の作業のフォローをしつつ優しい言葉をかけてくれた彼の名前は竹倉純。文具売り場で莉子と共に働く青陽堂書店の正社員だ。
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