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熱帯夜に溺れる
第3章 熱帯夜に溺れる
 晴れて恋人となっても莉子と純は職場ではふたりの関係は秘密にしようと約束した。提案したのは莉子の方だ。
 社内恋愛は当事者が知らない間に噂が広まっているものだ。現に、荒木史香が既婚者の主任に熱を上げていることは文具売り場の店員達には周知の事実だった。

 莉子は来春には書店のアルバイトを辞めるが、正社員の純はこれからもここで働いていかなければならない。

 「若い女に手を出した」と何も知らない人間に純を揶揄されたくはない。35歳正社員と19歳アルバイトの恋愛の外聞は良くはないだろう。
 彼の立場を悪くさせる要因は作りたくなかった。

 だから莉子は、仕事中は甘い空気を出さないよう極力努めた。純はやはりその辺りの切り替えが大人で、莉子よりももっと上手くやっていた。

 告白後に初めて職場で顔を合わせた火曜日は事前にメールでやりとりをしていた。わざと時間をズラしてそれぞれ退勤したふたりは八丁通り前の例の公園で待ち合わせた。

 莉子が公園に向かうと、先に到着していた純がベンチで待っていた。

「今日も疲れたぁ」
「お疲れ様」

 ようやく純と過ごせる甘い時間に心が躍る。園内の自販機で買ったジュースでふたりは乾杯した。莉子はレモンソーダ、純はアイスコーヒーだ。

「今日、試験結果が出たの。ひとつだけ追試になっちゃった」
「そっか。追試いつ?」
「明後日。それに合格すればやっと夏休み」

 辛い追試の後は純との初デートが待っている。そう思えば追試も乗り越えられる。

「俺は何も出来ないけど、追試頑張れ」
「うん。純さんは一緒にいてくれるだけでいいの」

 彼の手が優しく莉子の長い髪を撫でていた。
 夏のむわっとする熱い空気と少しだけ冷たい夜風が初々しい恋人達に寄り添っていた。
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